村上世彰 「生涯投資家」レビューと感想 あの事件の真実の一面

村上ファンドで一躍有名になった村上世彰さん。そしてライブドアの堀江さんと同時期に逮捕されたことで、ニュースになったことは私の記憶にも残っています。

あの事件は、個人的にはとても不可解な事件でした。

ライブドアの堀江さんは当時、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍していました。球団を買うといい出した時に、なぜか断られてしまったことも、当時の私からすれば「なぜなのだろう?」と思う部分が多々ありました。その後、楽天が球団を手に入れた時、「楽天なら良くて、あの時堀江さんのライブドアがダメだったのは、ただ単に好き嫌いで判断されたとしか思えない」というのが率直な感想でした。

当時堀江さんが球団を手に入れられない理由として、「IT企業として基盤が不確実であること」などが理由の1つに挙げられていたように記憶しているからです。

今では楽天、ソフトバンク、DNAが球団を持っており、あの時にライブドアが球団を得ていたらどうなっただろうと思うこともあります。

あの時の堀江さんは言葉の使い方を含めて、伝統ある会社や年上の方々から可愛がられるタイプではなく、むしろ「なんだこいつは、生意気だ」と思われるであろう態度だったと感じます。これは社会人経験があれば、誰でも「堀江さんみたいなタイプは、一部の人からは圧倒的に好かれるけど、大多数の組織の上の人から好かれないよね」と思ったのではないかと思います。

もちろん堀江さん自身が起業家であり、実力とカリスマ性があり、だからこそあそこまでライブドアを大きくできたであろうことは理解でき、私も見習うべきことが沢山ある起業家の一人という認識でいました。

その堀江さんがフジテレビを手に入れる動きを始め、私自身はその時に初めて村上世彰さんという投資家の名前を知りました。

そして紆余曲折あった上での二人の逮捕。

はたから見ていても、本当にインサイダーがあったのか、疑ってしまうような事件でした。

国家権力というものは、時には見せしめのようにグレーを黒に変えることがあるということを、歴史で度々目にしているからです。

今回は私にとってずっと不可解だった事件を知りたいという思い、そして村上世彰さんとはどのような考え方の人物なのか知りたいという興味で、本を手に取りました。ずっと読んでみたいと思っていた村上世彰さんの著書「生涯投資家」を読んでみましたので、レビューと感想を紹介したいと思います。

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村上世彰さんの歴史を知る

村上世彰さんは、父親が「投資家」というまさにサラブレッドな生まれでした。

私が尊敬するウォーレン・バフェットさんも父親が証券業をしていたことは有名です。やはり幼少期から投資に関わる環境であったからこそ、投資の世界に興味を持ったのでしょう。

私の両親は典型的なサラリーマンなので、投資家という仕事がこの世の中にあることを、大学に上がるくらいまで良く理解していませんでした。

私が投資家に憧れを持ったのは、大学時代に読んだ「改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)」がきっかけだからです。

そんな私とは対照的に、村上世彰さんは小学校三年生の時に父親から百万円の帯付きの札束を出されます。

「世彰は、いつもお小遣いをちょうだいと言うが、いま百万円あげてもいい。だたしこれは、大学を卒業するまでのお小遣いだ。どうする?」

見たこともない大金を目の前に、私は興奮した。それでも冷静になって計算した。

「お父さん、大学卒業までだったらあと十四年もあるから、百万円じゃ少ないよ。大学入学ならちょうど十年だから、年間十万円になる。だから、大学に入るまでのお小遣いにして!」

村上世彰著「生涯投資家」P.10より引用

そうして村上世彰さんは、小学三年生の時に株式投資を始めたそうです。

誰よりも早く投資の世界に入り、自分自身のお金を運用していたことに驚きます。

そして村上世彰さんの父親の教えである「上がり始めたら買え。下がり始めたら売れ。一番安いところで買ったり、一番高いところで売れるものだと思うな」という教えを、村上さん自身が今でも実践されているのだそうです。

私の最も尊敬している投資家は、父である。投資哲学は、すべて父から学んだ。「上がり始めたら買え、下がり始めたら売れ」という右の教訓は、今でも私の投資の基本になっている。

村上世彰著「生涯投資家」P.11〜12より引用

そして大学の時には父親のカバン持ちをし、世界中の投資案件を見て回ります。

この時の経験がやはり自身が投資家になるための基礎となったのだと感じました。

結局大学卒業してすぐには、投資家にはならず、「国家というものを勉強するために、ぜひ官僚になれ」という父親の強いアドバイスのもと、通産省で約16年間役人として生活を送ることになります。

そして40歳を目前にして独立して、ファンドを立ち上げることを決意されるのです。

村上世彰さんが目指すもの コーポレート・ガバナンス

村上世彰さんが目指しているものは、「日本経済が永続的に成長していくこと」そしてそのためには「企業のあるべき姿」としてコーポレート・ガバナンスの重要性を日本企業に広めていくことだと私は感じました。

コーポレート・ガバナンスとは、投資先の企業で健全な経営が行なわれているか、企業価値を上げる=株主価値の最大化を目指す経営がなされているか、株主が企業を監視・監督するための制度だ。

村上世彰著「生涯投資家」P.31より引用

日本では会社は利益を上げ、株主の価値を最大化するという意識が非常に薄いということは私も感じていました。

ブルドックソース事件の時も「ハゲタカファンド」ということでファンドが叩かれる世間の風潮に私自身は疑問を感じていました。

「企業は上場しているのであれば、誰でも株式を買えるのは当然のこと。嫌なら上場廃止すればいい。」ということ自体当たり前のことであるのに、なぜファンドが買収に乗り出しただけで「ハゲタカ」呼ばわりされるのか疑問でした。

また、ブルドックソース側の対応も会社は株主のものでなく、社長含めた自分たちのものだという意識を強く感じ、とても疑問に思ったことを今でも覚えています。

コーポレート・ガバナンスを徹底することが良いことか悪いことかは問題ではなく、株式を発行しているということは当然株主から利益を最大化しろと言われることがあるということだと考えています。

村上世彰さんがコーポレート・ガバナンスにこだわるのも、日本企業が他の国の企業に比べ、コーポレート・ガバナンスに弱く、また日本経済を成長する上で企業が利益を最大化するということは1つの手法として理解できることだとも思いました。

村上世彰さんの投資術

生涯投資家」では村上世彰さんの投資術についても簡単に説明されています。

・期待値

・IRR

・リスク査定

この3つの指標を軸に総合的に判断をして、村上世彰さんは投資を行っているそうです。

期待値の計算方法 100円を投資する場合

0円になる可能性が20% 200円になる可能性が80%であれば、期待値は1.6(0×20%+2×80%=1.6)

このように計算するそうです。

そして村上世彰さんは期待値が1.0を超えないと、金銭的には投資する意味がないと判断するそうです。

この考え方は徹底されているそうで、例えば0円になる可能性が50%以上あったとしても、期待値が1.0を上回っていれば投資することがあるそうです。

そして投資には失敗もあります。

村上世彰さんのような凄腕の投資家であっても失敗した投資案件はたくさんあることも「生涯投資家」の中で紹介されていました。

生涯投資家でいたいという村上世彰さんの思い

村上世彰さんの逮捕などによって、本人だけでなく家族にも多大なストレスを与えてしまったことを村上世彰さんはとても後悔されているそうです。

しかしそうであったとしても、村上世彰さんにとってコーポレート・ガバナンスを日本の企業に広めることは自身の生涯においての使命だと感じているそうです。

どんな困難があったとしても、コーポレート・ガバナンスを通して日本経済を成長させていきたい、そして自分自身は生涯投資家でいたいという強い思いが著書からひしひしと伝わってきました。

私自身は金融の知識もまだまだ少ないですし、コーポレート・ガバナンスの知識も少ないので、村上世彰さんの実施していることがどれだけ日本経済に良い効果を生み出すのか理解が足りない部分もあります。

とはいえ、生涯において実現したい夢に向けて強く行動している村上世彰さんをやはり尊敬の目で見ずにはいられません。

投資家というと「金の亡者」と思われがちですが、お金儲けははっきり言って悪いことではありません。私は日本人が「お金儲けをしている=悪い事」という固定概念がなくなれば良いと昔から思っていますが、それと同じように投資家はお金儲けだけでなくその先を見て行動している人もいるのだと、この本を通して多くの人が知る事が出来れば日本はもっと豊かになるような気がします。

私個人としては、これだけマスコミに散々叩かれても、家族や自分自身に多大なストレスを与えていても、それでも投資家として日本を変えたいという村上世彰さんを応援したい気持ちになりました。

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